こんにちは、老害東方厨の編集役です。
今回は老害東方厨さんに「東方酔蝶華6巻について語らせてくれ」と
言われ作成したコラムになります。
本サイト「老害東方厨は今日も語る」では色んな方に楽しんでいただくべく、
クイズや初心者にオススメの作品などの記事を上げていましたが、
今回はとてもコアな内容になっています。
・東方酔蝶華を5巻まで読んでいる
・東方智霊奇伝、東方虹龍洞あたりの話もざっくりわかっている
とより一層楽しめますが、「うわあ老害がなんか偉そうに語ってらあ」という
楽しみ方も出来ますので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
更に、ネタバレも含みますので、お気をつけください。
とはいっても、ネタバレをしても酔蝶華の面白さは無くならないそうなので、
そこまで気にならない方は未読でも問題ないと思います。
前置きが長くなりましたが、それでは老害東方厨さんにバトンタッチです。
東方酔蝶華の完成度と面白さについて
東方Projectの漫画は完結したものを含めれば結構な数になる。
東方三月精や東方儚月抄にはじまり、東方茨歌仙に東方鈴奈庵、更には連載中の東方智霊奇伝に加え、今回紹介する東方酔蝶華だ。
酔蝶華は新キャラである奥野田美宵が話の中心となり話が展開される短編集になる。
あえて短編集と称したのは、大体話は前中後編、もしくは前後編にわたって紡がれで大体の落ちがつくからだ。
単行本一冊で大体3~4話の短編が入っている計算になる。
酔蝶華の6巻は、その3~4話のクオリティがあまりにも高いので今回は筆を執った(パソコンだけど)。
一話ずつ、語っていこうと思う。
第37・38話「商人と酔いどれは直ぐには立たぬ」
文ちゃん回である。
この文体と著しくギャップを感じられるかもしれないが、私は根っからの文ちゃんファンであり、普段からこの呼称のためこのまま進ませていただく。
さて、文ちゃん回である(二度目)。
非常に出オチで申し訳ないが、私がこの記事を作ろうと思ったきっかけがこの37話と38話である。
文ちゃん、射命丸文は果たしてどんなキャラか。
文ちゃんは霊夢・魔理沙の次に分類される準主人公キャラ、つまり早苗や妖夢、咲夜と並ぶといっても過言ではない原作出演本数を叩き出している。
文花帖(書籍)で爆誕し、すぐさま花映塚や風神録でも出演した。文花帖(ゲーム)の方ではなんと霊夢や魔理沙を差し置いての自機である。
更には天狗、かつ新聞記者というポジションから数多くの書籍にも出演している。そしてテーマ曲も二つある。
かつてファンの間で「神主と寝た」などとも揶揄されていたのも納得の出演回数である。
「寝た」の意味がわからない読者諸兄はぜひ近くの大人に聞いてみると良い。聞いたからって答えが返ってくる保証が無いという事実を知ることになるだろう。
文ちゃんの話に戻そう。
地霊殿では伝説の名言である「清く正しい射命丸」を自称していることから性格はかなり歪んでいるようにも思える。
「弱き者に強く出て、強き者に弱く出る。本当は強いのに惚けて狡猾」とは文花帖(書籍)でのかつての上司、伊吹萃香の評価だ。
性格には「天狗」という種別全体での評価だが、文ちゃんとの会話でしみじみと語っているところから、彼女にもその節はあるのだろう。
妖精とは手加減しても勝ってしまうくらい強く、若ぶっているが強者には老齢のそれを感じさせる。
さて、そんな強くて賢くて幻想郷一素早い(上に可愛い)文ちゃんが、今回の「商人~」ではどんな立ち位置だったか。
それは「敗北」である。
一心不乱の至誠一貫、我田引水の流石の文ちゃんでも上司には勝てなかったのである。
簡単に説明すると、文ちゃんは赤い雪についての調査をしていた。
美宵調査員を率いて調べているうちにそれは天狗内部の仕業だとわかってくる。
「天狗内部の膿を出してやろう」そういう気概で調査を続けるも……今回は完全に飯綱丸に封殺されてしまいます。
38話最後、千亦と飯綱丸の会話はおそらく、漫画的な表現を見ても「文のことには気づいていない、ただの千亦と飯綱丸の会話」であった。
ちらりとでも物陰を見る描写があれば「文ちゃんちょっと頑張ろうとしたけど上司はお見通しだよん」という少しおふざけで終わったかもしれないが、これは文ちゃん的にはきつい。
文ちゃんは飯綱丸の言う「愚か者」に知らず知らずになっていたのだ。上司である大天狗に無意識に「まだまだだね」という評を受けたのである。
気合をいれて調査をしていたら、たまたま通りかかった悪意の無い悪口を聞いてしまうあの辛さは想像し難い。
もちろん意外にも長寿である文ちゃんのことなので、こんな経験は過去にもあるかもしれない。
それはきちんと「自然現象だった」という新聞を作成していることからもわかるだろう。並の天狗なら、現代の天狗ならもしかしたら何もかも嫌になって引きこもってしまう可能性だってある。
しかしながらあの隠れている文ちゃんの表情はとても良い。
「愕然」を表情で、体で、「ビビビビ」で表している。
これは37話最後の「美宵調査員」のドヤすぎる表情が非常に伏線になって(なっていない)効いている。
私は事前に「商人~」をWEBで読んで衝撃を受け、改めてじっくり読むために酔蝶華6巻を買ったと言っても過言ではない。
酔蝶華はどの話も粒ぞろいだ。しかしながらこの「商人~」は完成度が高い。
駒草山如、にとりに千亦に飯綱丸。サブキャラも非常に色があり可愛らしい。誰もが「良いとこ取り」で出番をかっさらっていくが、やはり酔蝶華6巻で主人公をつとめた文ちゃんの前では霞んでしまう。
余談だが、これについて語っている同士は居ないかと検索した所、海景優樹氏のnoteの記事が見つかった。
文ちゃん好きは読んでみると良い。私よりもかなり丁寧に、文ちゃんについて考察をしている。
リンクはこちら
文ちゃんの「ドヤ顔」からの「愕然」が見れる
第39・40話「瓢箪から小魔が出る」
(ここからだいぶ端折ることを許してほしい。主軸の言いたいことは言えたからだ)
東方酔蝶華6巻、第二の主人公である魔理沙がメインの話。
霊夢の「今夜するよー」や恐らく花見の相談をしにきた早苗や咲夜など見るべきものはたくさんあるが、注目すべきはやはり魔理沙の人間らしさ、勤勉さだ。
伊吹瓢というマジックアイテム片手にワクワク自宅に帰る様子はあまりに幻想少女である。
70ページのコマ割りと表情、吹き出しを見たときは感嘆の息を漏らした。こんなにも霧雨魔理沙を、少女のワクワクを表す手段があるなんて思いもよらなかった。
そして73ページ最後のコマをぜひ見てほしい。これは単純に可愛い。「えへら」というオノマトペ(?)が非常によく似合う。
魔理沙は幻想の少女であることを再認識させられる
第41・42話「木に縁りて鬼を求む」
「瓢箪から~」が前哨戦、そして「木に縁りて~」が本編とも言える。
伊吹瓢だと思っていたマジックアイテムがただの瓢箪で、それを見抜けなかった魔理沙の虚無感の話だ。
39~42の4話を通して読んでみると、東方酔蝶華の原作、ZUNという人物は魔理沙を輝かせることに長けていると言わざるを得ない。恐ろしいさすら感じてしまうほどに魔理沙が可愛く成長しているのだ。
なぜならこの4話で魔理沙は美宵ちゃんがきっかけとはいえ
挑戦し、挫折し、工夫し、成功している。
「サボってなんかないよ」といちいち可愛い霊夢もいるが、魔理沙という人間の可愛さ、等身大の可愛さ、努力する凡人の素敵さを素敵に描いている。
東方ファンとして、何度も魔理沙を自機として操った経験があるからこそ、これを完成度が高いと評さずには居られないだろう。
だからきっと、「この世のものではないやつら」である萃香に評価されたことは本当に嬉しかったに違いない。
良かったな、魔理沙。ずっと応援しているから。
そう思わせる魔理沙の魅力、そして原作の力があることをしみじみわからされた話であった。
ZUNっていう人は霧雨魔理沙を描くのが上手いんだな
第43・44話「燻る店には居られるが、睨む店には居られぬ」
※東方我楽多叢誌の目次に掲載されているタイトルと、酔蝶華6巻でタイトルが異なっているため、今回は酔蝶華6巻準拠のタイトルで続ける。
今巻の主人公である文ちゃんが再登場し、立派な顔芸を披露してくれるのが今回の「燻る~」である。
酔蝶華6巻は本当に文ちゃんが大忙しだ。前半では敗北し、後半では「天狗の仕業じゃ」と笑われる。
「150年前はしてたんだ」美宵ちゃんや、足水で涼を取る霊夢・魔理沙。「フギギー」お燐ちゃんに、「くー」霊夢。
水炊き氏の表現力、絵の巧さがとんでもないことになっているが、やはり見せ場は最後の新聞を語る文ちゃんであろう。
「嘘は吐かないわ 新聞は」
自身はさておき新聞においては清く正しいを通す文ちゃんが、酔蝶華6巻でもう2回の嘘を新聞に掲載している。
一度目は上述した37・38話「商人~」の件。
そして今回のぼや騒ぎの件。
前者は見事な敗北だったが、今回は嘘をつくことで里の混乱を収めるという結果をもたらしたのだ。
ただお燐は今後も調査を続けるようで、文ちゃんが怨霊のことを知っているということは時系列的に迷宮篇智霊奇伝2巻6話の「怨霊って何よ」と霊夢に聞いている時よりも後だということがわかる。
これは怨霊の件について「里は文が調査をする」ということで落ち着いたのだろうか。
いまいち酔蝶華と智霊奇伝のつながり、及び時系列がわからないが、文ちゃんが嘘をついたことで里は一旦の平和が訪れたのだ。それだけは間違いない。
信念を曲げた文ちゃんの最後の表情がまた良い。
おわりに
非常に長くなってしまったが、酔蝶華6巻についての感想を述べた。
私の熱さが伝わってくれたら幸いだ。
今巻は何度も言うように完成度が高い。
東方原作をやっておらず、二次創作しか知らない方でも全然楽しめる。それくらいにクオリティが高い。
老害と名乗っている私が言うのもなんだが、最近の東方書籍はとてもおもしろい。
昔の書籍を批判するわけではないのだが、原作のZUN氏も確実に漫画原作の腕が上がっている。更には表情豊かで所作が非常に少女な炊き氏の絵。名作になってしまうのは仕方のないことだろう。
幸せな時代だ。
今ならWEBで1話無料で読めて、さらには単行本も1000円以下だ。
1000円で何度も何度も幻想少女たちの可愛い姿や仕草、そして敗北が見れるなら安いものだろう。
もしこの記事を読んで、更には東方酔蝶華6巻を読んでいない奇特な方がいたら、こう伝えたい。
読め。文ちゃんが、魔理沙が、霊夢が、もう全員可愛いから。生きているから。
以上、これより長くなると編集に注意を受けるのでここまでにする。
ということで今回は老害東方厨さんに東方酔蝶華6巻について語っていただきました。
これで興味を持った方、ぜひ読んでみてください。
それではこの辺で。
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東方酔蝶華6巻